Hotel Spa Development

スパセラピストの人材募集が困難になる日本の現状と対策を解説!

ホテルスパ業界の経営者・管理職の皆様、近年日本でのスパセラピストの人材募集がますます困難になっていることを実感されているのではないでしょうか?
日本では、新型コロナウイルスの影響や業界全体の悪いイメージが原因となり、優秀な人材の確保が一層難しくなっています。

本記事では、日本のスパセラピスト募集の現状とその背後にある具体的な原因について詳しく掘り下げていき、これらの課題に対処するための効果的な対策を提案し、ホテルスパ業界の発展に貢献できるよう詳しく解説していきます。

ようこそ、ホテルスパの世界へ

日本のエステ文化とスパセラピストの現状

エステティシャンと機械を使った痩身・フェイシャル

日本ではエステ文化が非常に根強く、その中でもエステティシャンが数多く存在します。
特に、機械を使用した痩身系やフェイシャル施術が非常に人気であり、多くのエステティシャンがこれらの技術を習得しています。
しかし、このような技術は手技を重視するホテルスパで求められる技術とは、異なることが多いため、エステティシャンがホテルスパのセラピストとして転向するには、さらなるトレーニングが必要となっています。

実際にホテルスパでは、大きな外国人や男性客をも対応するための強圧テクニックや、筋肉など理解する生理解剖学の知識が大いに求められますね。
海外とは違い、日本のエステ界では詳しく解剖学など学ばないので個人で学ばない限り、知識やスキルはつかないのです。。

リラクゼーションセラピストの増加とタイマッサージの普及

近年、街中でもリラクゼーションセラピストの数が増加していますが、その多くがタイマッサージに集中しています。
しかし、ホテルスパではより幅広い施術スキルが求められ、タイマッサージだけでは対応しきれない場合が多いのが実情です。
ホテルスパでは、多様な顧客ニーズに応えるための多彩な手技が求められるため、タイマッサージ専門のセラピストを即戦力として採用するのは難しい状況にあります。

英語力の不足

国内ビジネスである美容・リラク業界では、英語ができないエステティシャンやセラピストが大多数を占めています。
ホテルスパでは、外国人客が多く訪れるため、英語でのコミュニケーション能力が重要ですが、多くのエステティシャンやセラピストは、英語での接客経験がないため、外国人客への対応が大きな課題となっています。
これにより、ホテルスパにおいては英語力を持つセラピストの需要が高まる一方で、その供給が追いつかない状況が続いています。この言語の壁が、ホテルスパでの人材募集をさらに困難にしています。

ホテルスパを目指さない限り英語を習得する必要性がない職業だからこそ、セラピスト達にとってもホテルスパへの就職はハードルが高くなり、躊躇してしまう人が多いです。

エステ業界のブラックイメージとコロナ禍の影響

ブラックな業界イメージ

エステ業界は、残念ながらその過酷な労働条件で悪名高いです。。。
また、海外と違い国家資格でもなければ、資格がなくても働けてしまう職業であるため
『技術者』という扱い・認識はされず、あくまで『一般的なサービス業』として置かれ社会的にも、無茶な働き方が当たり前だと言われてしまっています。。

Reasons

  • 長時間労働、サービス残業の多さ
  • 肉体的にも精神的にも負担が大きい
  • 過度なチケット販売や営業ノルマが課せられる
  • 売上目標を達成するために無理な営業活動を強いられる
  • 有給休暇が取りにくい、取れない


これらの要素が組み合わさることで、エステ業界全体に対するブラックなイメージが強く浸透し、将来性や収入に不安を感じる人が多くなっています。

コロナ禍( COVID-19)での打撃

新型コロナウイルスのパンデミックは、エステ・マッサージ業界に大きな打撃を与えました。
多くの店舗が営業停止や倒産に追い込まれ、多くのエステティシャンやセラピストが失業するとうい悲劇に。
特に、小規模なサロンは感染対策の費用負担や顧客の減少に耐えきれず、閉店を余儀なくされ、業界全体の離職率が急増し、安定した職を求めるエステティシャンやセラピストが他の業界に流れる結果となりました。


また、エステ・マッサージ業界の不安定な将来性を懸念する中、新規志願者が減少し、人材の供給が大幅に減少しました。
さらに、感染対策として接触を避ける傾向が強まり、顧客のエステ利用頻度も減少したり、美容クリニックの普及で顧客が流れていきました。


これらの要因が重なり、エステ・マッサージ業界は未だに回復の兆しを見せていない状況です。
このような背景から、エステ・マッサージ業界はコロナ禍を経てさらに悪いイメージが強まり、人材の確保がますます困難なっているのです。

金銭的問題、将来の安定性、リモートなど働きやすさを一段と考えさせれたコロナ禍。
そういう現状からも、離職するセラピストたちが多く目立ちましたね。
だからこそ、私は、エステとホテルスパ業界の違いを強く発信し続けています。

働き方の変化と経済的な制約

肉体労働を避ける傾向

現代の女性は、より快適で柔軟な働き方を求める傾向が強まっています。
特に、デジタル技術の進化により、リモートワークや在宅勤務が可能な職種が増えたことで、肉体労働を避ける選択をする人が増加しています。
これにより、長時間の立ち仕事や体力を必要とする仕事を敬遠する女性が増えており、マッサージスクールなどの専門学校に通う人も減少傾向にあります。

リモートワークは通勤時間が不要であり、家庭との両立がしやすいといった利点があるため、特に子育て中の女性や、プライベートの時間を大切にしたい人にとって魅力的な選択肢となっていますし、このような働き方の変化は、体力を要するスパセラピストの職種において、応募者の減少につながっています。

日本では、子育てしながら両親が働く『共働き』がMUSTとなっていますので、子育て中の女性にとっては、規則正しいオフィス仕事やリモートワークは必要な選択となってしまいますね。
企業側からの、働きやすさを考慮するPR努力も必要かと考えています!

物価高による影響

近年、日本では物価高が続いており、生活費が上昇しています。
特に、若年層や収入の少ない人々にとって、この物価上昇は大きな負担となっています。

これにより、マッサージスクールや専門のトレーニングプログラムに通うことが金銭的に難しくなっているのが現状です。
学費や教材費、通学にかかる費用が高いため、自己投資を躊躇する人が増えています。
その結果、スパセラピストとしての経験を積むための教育機会が減少し、業界全体で経験者が増えないという問題が生じています。

加えて、経済的な制約により、既に業界で働いているセラピストもスキルアップや再教育を受ける余裕がなく、業界全体のスキルレベルの向上が阻まれています。
これらの経済的な制約は、スパセラピストの人材不足を一層深刻化させてる大きな要因と言えます。

昔の日本のように’’ 好きだから’’ という理由だけで仕事を選べない現状。
学べない現状が目立ってきてますね。。
美容専門学校でも、200万円以上の費用がかかりますし、民間のスクールでも30-40万円くらいの費用がかかります。
経済的不安の中、これらの費用を出して一から学ぶのは、かなり厳しい現状です。

ホテルスパの認知度と業界イメージの低さ

ホテルスパという働き方の認知度

エステ文化が根強い日本では、ホテルスパという働き方自体が一般的に知られていないため、多くの人にとっては非常に異質で馴染みのないものに感じらています。

特に日本では、エステやリラクゼーションサロンの方が圧倒的に普及しているため、ホテルスパの存在やその魅力について知る機会が少ないのが現状です。
ホテルスパで働くという選択肢があることを知らない人々にとって、この業界はまるで異世界のように感じられ、興味を持つことが難しくなっています。

実際に私が、ホテルスパ未経験者に行った『ホテルスパ認知度アンケート』では、上記のように

  • イメージが湧かない、存在すら知らなかった
  • 仕切りが高い、厳しそう、難しそう
  • 働いてみたいけど、技術や英語など自信がない

などのお声が多くありました。

さらに、エステ業界に根強いブラックなイメージが、ホテルスパにも影響を及ぼしています。
エステティシャンやセラピストは、過酷な労働条件や厳しい営業ノルマ、休暇が取りにくいといったネガティブな要素を経験してきたため、同じような状況がホテルスパでもあるのではないかと懸念しています。。
このため、ホテルスパで働くことに対しても同様のイメージが付きまとい、転職や新規参入を躊躇させる一因となっています。


また、ホテルスパの職場環境や働き方についての具体的な情報が不足しているため、求職者が安心して応募できる環境が整っていません。
多くの人が、ホテルスパの仕事内容やキャリアパスについての情報を得る手段が限られており、不安を感じることが多いです。
その結果、ホテルスパでのキャリアに興味を持つ人が少なく、優秀な人材を確保するのが難しい状況が続いています。

ホテルスパの魅力を広く伝えるためには、業界全体での積極的な情報発信が必要です!
具体的な仕事内容や働き方、職場環境の良さを詳しく紹介し、求職者が安心して応募できるような情報提供を行うことで、ホテルスパという働き方の認知度を高め、ポジティブなイメージを浸透させることが重要視されてきます!

対策と提案

ホテルスパの情報発信

ホテルスパの働き方や職場環境についての情報発信が極めて重要です。
現状、多くの人がホテルスパでの仕事に対して具体的なイメージを持っていないため、詳細な情報提供を通じて認知度を高めることが必要です。

具体的な手法として、インスペクションや就職体験ツアーを開催することが効果的です。
これらのイベントを通じて、求職者が実際に職場を見学し、スタッフと直接話す機会を提供することで、ホテルスパの魅力や実際の働き方についての理解を深めてもらいます。
リアルな職場体験を通じて、ホテルスパの職場環境がエステ業界のブラックなイメージとは異なることを知ってもらい、応募への意欲を高めることができます。

実際に働いてる人や、職場の雰囲気を事前に知ることは転職を検討する側にとって、大きな安心に繋がります。
やはり、女の世界。職場の雰囲気や人は自分がうまくやっていけるかの判別としてかなり気になるポイントではありますね!!

未経験者の採用と育成

未経験者や経験が浅い人材を積極的に採用し、企業内での育成プログラムを充実させることが必要です。
外部の専門講師を招いて、高品質なトレーニングを提供することで、新たに採用した人材が迅速に必要なスキルを身につけられるようにします。

これにより、忙しくて時間が取れない場合や教えられる人がいない場合でも、即戦力として活躍できる人材を育成すると同時に、将来性のある人材を確保することが可能となります。

さらに、未経験者向けのキャリアパスを明確に示すことで、長期的な成長を見据えた就職希望者を引き付けることができます。
企業内での育成が進むことで、業界全体のスキルレベルも向上し、ホテルスパの品質がさらに高まるでしょう!

人材は待つから、育てるへ。
2024年、マンダリンオリエンタルでは、トレーニー採用を実施し新しい動き、人材確保戦略を始めました!

https://reclab.co.jp/detail.html&id=5294

経済的支援の提供

経済的に困難な状況にある若いエステティシャンやセラピストに対して、教育費の支援や最低雇用期間の保証などのサポートを提供することが、優秀な人材を引き付ける重要な要素となります。

具体的には、奨学金制度やトレーニング費用の補助、安定した収入を保障する最低雇用期間の設定などが考えられ、経済的な理由でスキルアップや転職を躊躇している人々にとって、ホテルスパでのキャリアが魅力的な選択肢となります。
また、こうした支援制度は企業の社会的責任を果たす面でも評価され、企業イメージの向上にもつながりますね。

経済的支援を通じて、より多くの人材が安心してホテルスパ業界に参入し、スキルを磨き続けることができる環境を整えましょう!


まとめ

スパセラピストの人材募集が困難な現状を打破するためには、ホテルスパ業界全体での一体的な取り組みが必要です。

Pick up

  • ホテルスパの働き方や職場環境についての情報発信を強化し、求職者が具体的なイメージを持てるようにする
  • インスペクションや就職体験ツアーなどのイベントを開催
  • スタッフと直接コミュニケーションを取る機会を提供し、安心して応募できる環境を整える
  • スパ未経験者や経験が浅い人材も、積極的に採用する
  • 外部の専門講師を入れ、企業内での育成プログラム・内製化を充実させる

これらの取り組みを通じて、ホテルスパ業界は魅力的な職場環境を提供し、新たな人材を引き付けることができます。
業界全体での協力と努力が、スパセラピストの人材不足を解消し、ホテルスパ業界の発展を促進する鍵となります。
魅力的で働きやすい職場環境を整え、多くの人々にとって魅力的なキャリアパスを提供することで、ホテルスパ業界はさらなる成長と繁栄を遂げることができるでしょう。

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    Next Action株式会社 代表
    風間 里紗

    エステ専門学校卒業後、エステ大手企業たかの友梨に就職。その後、オーストラリアに渡りセラピスト修行と語学留学を得てSPA の世界に。
    自然療法セラピストとしてキャリアを積み上げ、帰国後は、ザ・ペニンシュラ東京のスパにセラピストとして異例の最年少で入社。
    世界中の顧客やVIP、ビートルズのメンバーから指名担当を務めた。
    スパ運営のノウハウを学び、コロナ禍を乗り越え、現場を知り尽くした後、独立。
    現在は株式会社の代表としてホテルスパの立ち上げや外資系ホテルへの技術講師として活動している。

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